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ニスモのABS製エアロを補修するたった1つの選択

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R34でニスモのABS製エアロと言えばサイドスカートですね。サイドスカートのエアロは破損する確率も高く、ヤフオクでは破損したジャンク品として出品されるケースも多々あります。

フロントバンパーとリヤアンダーはFRP製ですが、サイドスカートのエアロはABS製なんですね。

今回の記事では、ニスモのABS製エアロの補修をテーマに、私が実践しているたった1つの選択で補修がもっと簡単になる方法を解説します。

それでは、スタート!

ABSとは?

ABSとは、「アクリロニトル・ブタジエン・スチレン」の略称です。

ABSの原料である3種類の樹脂が、そのまま名前になってしまったプラスチックです。

特徴としては、耐衝撃、高剛性、加工も用意(熱で溶けて冷やすと固まる)、表面が光沢仕上がりになる、と言う主な特徴を持っています。

それでは、R34の純正エアロで採用しているPP素材と比較すると、どのような差があるのか見てみましょう。

ABS vs PP 材料特性比較

R34のエアロに装着する前提で、最低限必要な項目を比較してみます。

PP ABS コメント
比重(g/㎤) 0.93〜0.96 1.04〜1.07 PPの方が軽い
引張降伏応力(MPa) 29〜38 35〜59 ABSの方が強い
アイゾット衝撃強さ(kJ/㎡) 2.9〜7.8 15〜49 ABSの方が強い
耐熱温度(℃) 120〜130 60〜95 PPの方が有利

引用元:https://www.kda1969.com/study/study_pla_compare.htm

比較すると、PPよりABSの方が強度を示す項目で数値がよいのでエアロに適した材料と言えます。

材料特性を生かすのであれば、高荷重、耐衝撃はPPより優れていますので、サイドスカートなどの路面に近く、接触リスクが高い部位のエアロには適した材料と思います。

一方、耐熱温度はPPの約半分しかありませんので、車の室内やエンジンルームなど高熱になる部位には適していません。

ABS vs PP 耐薬品特性比較

今度は、耐薬品の目線で比較してみます。

有機溶剤 塩類 アルカリ 酸類 酸化
PP 7 10 10 10 8
ABS 4 10 8 9 4

引用元:https://www.kda1969.com/study/study_pla_compare.htm

数値は、相対比較になります。

ABSは、有機溶剤に弱く、最悪割れてしまう場合(通称:ソロベルトクラック)もあります。また、ABSの酸化の代表例は、黄変です。表面が黄土色へ変色してしまう現象です。

塗装されたニスモのABS製エアロは、使用環境において特筆して注意する点はありませんね。強いて言うのであれば、塗装するときの有機溶剤の量ですね。たくさん使うと割れの危険性が高まります。

ニスモのABS製エアロを修理してみるには?

ニスモのABS製エアロの修理は、FRP製エアロの補修のように、多大な時間と工程、準備を必要しません。

ニスモのABS製エアロの補修工程は、接着→表面仕上げ→必要に応じてパテ→塗装の基本4工程です。

FRP製エアロは、厚みを出すために何回も積層しましたね。また、積層の度に乾燥が必要で、多大な時間が必要でした。

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FRPの補修は、準備も作成にも時間もかかって大変でしたね。

でも、ABSはFRPよりもっと簡単で手軽に補修できるんです。

ニスモのABS製エアロの補修材料

ニスモのABS製エアロの補修材料は、私は以下を使ってきましたので紹介します。

内容量 価格(参考) 単位価格(参考) 購入先
純アセトン 500ml ¥400(税別) ¥0.8/ml FRP-ZONE
ネイルリムーバー(アセトン100%) 500ml 約¥650 ¥1.3/ml Amazon
タミヤセメント(ABS用) 40ml ¥260(税別) ¥6.5/ml TAMIYA
プラリペアクリアー 5g 約¥1200(税別) ¥240/g 武藤商事

以上の4種類を使ってきました。

ネイルリムーバーは、近年ノンアセトン化が進んでいますので、購入する際には注意してください。

ニスモのABS製エアロの補修にはタミヤセメントを選択する!

当初は、単位価格が最も安い、アセトンをメインに使っていましたが、アセトンは使い勝手が悪いので使用をやめました。

  • アセトンの匂いが強烈に臭う
  • 揮発性が高い
  • 小さな隙間用にしか使えない

アセトンは、FRP補修の道具清掃用に使ってきましたが、匂いが強烈で揮発性が高いので取り扱いを注意した製品です。

ニスモのABS製エアロの破損面が、綺麗な場合や隙間が小さい時はアセトンは有効に使えます。ですが、そんなことは稀で、大抵は欠損や隙間が大きい場合が大半です。

そんな欠損部分は、アセトンでは接合できないので、使い始めたのがプラリペアです。

この製品は、欠損部分も埋めることができるのですが価格が高め。商品としては、いいのですが価格がネックです。

他に無いかと探した結果で、今一番使用しているのがタミヤセメント(ABS用)です。

接着剤の写真タミヤセメント(ABS用)青色が目印!

タミヤセメントは、模型用で販売されているものですが、試しに使ってみたら、アセトンより全然使い勝手がいいので手放せなくなりました。

タミヤセメント(ABS用)のメリットは3点!

  • 匂いがほとんどしない。
  • 揮発性が低い。
  • 粘度が高いので大きな隙間も接合できる。

なんと、アセトンのネガティブな要素がすべてなくなってしまいました。また、粘度が高いので、アセトンでは接合出来なかった大きな隙間にも対応できます。

いいことづくしの接着剤ですね。

それでは、実際にタミヤセメント(ABS用)を使って補修してみたいと思います。

ニスモのABS製エアロをタミヤセメントで補修してみる

実際に、ニスモのABS製エアロを補修してみます。今回は、知人から依頼のあったニスモ製R34GT-Rのサイドスカートエアロ(ABS製)です。

サイドスカートの写真パッと見は綺麗ですが・・・

よく見ると、大きな割れが・・・

サイドスカートの写真です一番大きいのが40cmの割れです。

他にも5cmから20cm程度の割れが4箇所も・・・目立つように黄色のマーカーで塗りました。

ニスモ製のR34GT-Rのサイドスカートエアロを装着すると、サイドスカート部の最低地上高が下がるので段差でひっかけて割れてしまうんですよね。

私も何回も割って補修しました。参考までに、新品価格を確認すると・・・

  • 補修部品で、片側¥40,000(税別)(無塗装)
  • 左右セットで、¥62,000(税別)(無塗装)

さすがニスモ。補修で片側からでも購入できるのはありがたいですね。

今回は、お手軽に補修できないかとの、ご依頼ですのでやってみます。

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ニスモのABS製エアロの補修工程

ニスモのABS製エアロの補修工程を解説します。

  • 部品の洗浄・下処理
  • 接着材の塗布
  • 表面の仕上げ
  • 洗浄
  • 塗装

工程は、これだけです。FRPの作業工程の多さはなんだったんでしょう。

作業時間は塗装前(接着後の乾燥工程は抜き)までなら、1時間もあれば余裕です。

変形が発生している場合は、接着前にドライヤーで変形をとります

家庭用のドライヤーでも変形は取れますが、時間がかかるのでおすすめではありません。

ヒートガンを使うと作業時間が短くて済みます。

ニスモのABS製エアロを補修を実際にやってみる〜下処理〜

洗浄の前に今回の部品は塗装されていますので、下処理として製品裏面を#320のペーパーで足つけします。

足つけする事で、接着剤の接合力を強くします。範囲は割れの部分から、3mm程度削っていきます。

  • 下処理で重要な「足付け」で手を抜いちゃダメ!

足つけが完了したら、ニスモのABS製エアロ全体を車用のシャンプーで洗って、削りかすや砂、砂利を取ります。

次に、マスキングテープで補修部位以外を保護します。

タミヤセメント(ABS用)は、粘度が高いので垂れる心配がほとんどありません。故に、マスキングテープの保護範囲が最小限で済みません。

次は、タミヤセメント(ABS用)を塗っていきます。

タミヤセメント(ABS用)の使用ポイント

タミヤセメント(ABS用)の使用にあたってのポイントを解説します。

タミヤセメント(ABS用)は、蓋に刷毛がついているので、追加で刷毛は必要ありません。

タミヤセメントの写真蓋に刷毛が付いているので使い勝手がいいです

タミヤセメント(ABS用)を塗る前に、ニスモのABS製エアロの割れた部位をクランプして、隙間が小さくなるか確認してみます。

部品をクランプした状態の写真今回のクランプは、ダブルクリップで大丈夫でした。

隙間が、できるだけ小さくなるようにクランプ位置とクランプ力を決めていきます。今回の割れの大きさでは、ダブルクリップで十分でした。この点は、臨機応変に対処が必要です。

次は、実際にタミヤセメント(ABS用)をニスモのABS製エアロに塗っていきます。

タミヤセメント(ABS用)を塗るときのポイント

タミヤセメント(ABS)は、補修面にまんべんなく、少し盛り気味で塗るべし!

タミヤセメント(ABS用)を盛り気味にするのは、最終仕上げでパテを使わない為(接着剤をパテがわりに使う)です。

では、塗ってみます。

接着剤を塗布した後の写真赤丸部分がタミヤセメントの塗布部分です。

ニスモのABS製エアロの破断隙間に、充填するようにたっぷり塗っていきます。

ニスモのABS製エアロにタミヤセメント(ABS用)の塗布が終わりましたら、一晩放置します。

接着剤を塗って一晩放置したABS製のエアロ一晩放置した状態です。

ニスモのABS製エアロにタミヤセメント(ABS用)の塗布した部位が、接合されているか確認して、接合されていれば完了です。

冬場は乾燥に時間がかかりますので、十分乾燥時間を取ってください。

冬場は、十分乾燥時間を取る事!

あとは、表面の段差をサンドペーパーで整えて塗装するだけです。

ニスモのABS製エアロの割れ補修は、出来る限り塗装面を小さくして、再塗装しても目立たない塗装を行ったほうが見栄えがいいです。

私は、いつもソフト99のタッチペンを使って再塗装しています。

もちろん、大きな面積を塗る場合は部品全体を再塗装します。

まとめ

ニスモのABS製エアロのオススメ補修方法のまとめです。

ニスモのABS製エアロの補修工程は、大きく4工程で完成。

  • 下処理(洗浄、歪みとり)
  • タミヤセメント塗り
  • 表面仕上げ
  • 塗装

ニスモのABS製エアロの補修を簡単に行う為には、タミヤセメント(ABS用)を選択する!

ポイントは3点です。

  • 匂いがほとんどしない
  • 揮発性が低い
  • 粘度が高いので大きな隙間も接合できる

アセトンやプラリペアなどと比べても、使い勝手の良さも接合力も強くとてもオススメです。

破損状況によっては、プラリペアやアセトンももちろん有効なのでトライアンドエラーでやってみましょう。